古代と近世とを結ぶ「谷間の時代」である中世。その時代に東アジアの政治と文化の中心であった唐王朝の歴史を通じて、中世という時代を語る一冊。
古代の終焉とはどのような状態を指すのか、後漢で荘園が流行った理由、地方政権が滅亡を免れる方法、関羽と張飛の本質的な違い、先進国と後進国の交易で起こること、権力者が家臣を粛正する時、都市を繁栄させる法則、塩の専売が唐王朝にもたらした変化、中世が宗教の時代と言われる理由、などなど。唐王朝だけにとどまらない、筆者の時代も地域も超えた幅広い歴史知識と、そこから導き出される歴史の本質、人間の本質は刮目に値する。