【書評】 『旅人』 湯川秀樹

日本人初のノーベル賞を受賞した物理学者、湯川秀樹の自伝。
 
生い立ちから、学生時代のこと、そして物理学者を志し、中間子の理論を発見するまで。無口な文学少年が、いかに理論物理学の世界へ羽ばたいていったかを、瑞々しい文章で描く。大きな事件があるわけでも、どんでん返しがあるわけでもない物語。だが筆者の誠実な人柄がにじみ出て、「こんな青春を送りたかった」と思わされる一冊。未知の世界を探求する人々は、地図をもたない旅行者である」。おすすめ