【書評】『日本の地下で何が起きているのか』 鎌田浩毅

南海トラフ地震は約20年後に襲ってきて、その災害規模は東日本大震災の約10倍」。火山学や地球科学を専門とする筆者が、来るべき大災害について、市民が知るべきことをまとめた一冊。
 
日本の国土面積は世界の陸地の0.28%しかないが、M6以上の地震の約20%が日本で起きている。また国内には111の活火山があり、うち50は常時観察が必要な「今後100年程度で噴火の可能性がある」活火山である。そんな自然災害には事欠かない日本ではあるが、「想定外」が頻発されるほど国民の「災害リテラシー」は低い。筆者は象牙の塔にこもるのではなく、研究成果を分かりやすく伝えるという「科学コミュニケーション」の研究も行っている。衝撃的な内容も多いが、どれもが起こりうる災害ばかり。知ることは簡単である。そのうえでどう行動するかが、災害大国で生きる者に求められているのだと思う。おすすめ