【書評】『「働き方」の教科書』 出口治明

当代屈指の教養人である筆者による、仕事と人生の楽しみ方の指南書。
 
日本人の年間労働時間は、多く見積もっても2000時間。1年間は8760時間だから、仕事はその23%に過ぎない。だからこそ失敗を恐れず、楽しんで仕事をすべきである。驚異的な読書量と、幅広い知識量と、膨大な旅の経験から導かれる言葉の数々は、違和感なく心に響くものばかり。仕事とどう付き合っていくか、仕事から何を学ぶべきか。20代から50代まで、各年代ごとにすべき仕事と、学ぶべき内容は必見であると思う。
 
自分もかくありたい、と強く思わせてくれる一冊。抽象的な話から具体的な話まで、マクロからミクロまで、望遠鏡と顕微鏡を兼ね備えたような筆者の引き出しの多さには驚嘆させられる。教養のある人物とは、知恵のある人物とは、目標とすべき人物とは。その全てを兼ね備えた筆者の大きさに圧倒される一冊。いちおし