【書評】『モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」』 エフライム・ハレヴィ

「どちらが裏の世界で、どちらが日の当たる表の世界なのか。ほんとうのところ、自分でもよくわからない」。世界最強と言われる、イスラエル秘密情報機関の長官を務めた筆者による回顧録。
 
イスラエルは四方を敵に囲まれ、国土が小さいことから戦略的な縦深性にも乏しい。そんなイスラエルが今日まで生き残れてきたのはなぜか。その一つの答えが、秘密情報機関モサドだ。ここで筆者が明かすのは、イスラエルとその周辺国の伝統的な外交政策の特徴、交渉にあたって意識すべきこと、情報から判断を下す時のポイント、チームを作る際の注意点、などなど。諜報活動から各種和平交渉まで、さまざまな領域にわたってのモサドの流儀が明かされる一冊。権謀術数渦巻く世界で生き残るための、インテリジェンスの世界の一端を知れる一冊。おすすめ