【書評】『「学力」の経済学』 中室 牧子

「経済学がデータを用いて明らかにする教育や子育てに関する発見は、専門家の指南やノウハウよりも、よっぽど価値がある」。教育経済学者の筆者による、事実ベースの教育論。
 
試験前に学生の祖母が亡くなるのはなぜか、ご褒美の効果的なあげ方とは、褒めるときはどこを褒めるべきか、ゲームをやめさせれば勉強時間は増えるのか、教育投資の収益率はいくつか、少人数学級は効果があるのか、教員免許は教師の質を保証するのか、などなど。印象論でもなければ、感情論でもない。データを分析して得られる教育論は、読み物としても一級品である。いちおし