【書評】『お嬢さん放浪記』 犬養 道子

戦後まもなく欧米に留学した筆者の、痛快無比な放浪記。
 
1948年秋、いまだ戦災の余燼くすぶる日本から、一人の女性がボストンへと旅だった。入院先で学費を荒稼ぎしたり、オランダ領事に頼み込んで無理やりヨーロッパにも留学したり、シカゴのスラム街に迷い込んだり、ドイツで講演料を稼いだり、しまいにはフランスの古城をリノベーションしてインターナショナルハウスを作ったり。あふれる行動力と、涌くがごときアイディアと、何より周囲の驚くべき協力とで駆け抜けた青春記。わくわくとページを繰る手が止まらない、筆者の危なっかしさに引き込まれる一冊。おすすめ