【書評】『大英帝国の歴史 上』 ニーアル・ファーガソン

「それが良いものであろうが悪いものであろうが、正しいものであろうが汚いものであろうが、今日我々が世界として認識しているものは、その大部分がイギリス帝国の時代の産物である」。そう語る筆者による、大英帝国の歴史。上巻は大帝国への道を歩み始めたエリザベス一世の時代から、ヴィクトリア朝がインドを支配するまで。
 
大英帝国は、海賊の帝国であった。エリザベス一世以降、英国はほかの帝国から奪い取るということが、継続した作戦として行われてきた。七年戦争をはじめとする多くの戦争を経て、英国はその支配を広げていく。英国の植民地支配に対して多くの意外な事実が述べられているが、なぜ、どうやって英国が大帝国になり得たのかについては、考察不足が否めない。「知れば知るほど嫌いになる」と言われる大英帝国の歴史だが、それを英国人自らがいかに正当化するかが興味深い一冊