【書評】『黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い』 畠山理仁 

「無名の新人候補の訴えにも見るべきものがあるし、未来へのヒントがあふれている」。そう語る筆者による、2016年の東京都知事選をに立候補した、いわゆる「泡沫候補」たちのノンフィクション。
 
97%対3%。これは、上記の選挙において民放テレビによる「主要3候補」と、ほかの18候補の報道時間の比である。だが全ての候補者が安くはない供託金を支払い、社会に多様な選択肢を与えているのに、これは報道としてのあるべき姿なのだろうか。そんな問題意識から、筆者は「泡沫候補」たちを敬意をこめて「無頼系独立候補」と呼ぶ。候補者はなぜ選挙に立候補するのか。それは成し遂げたい政策があり、実現したい社会がるからだ。「無頼系独立候補」はなぜ奇抜な言動をするのか。そうでもしない限り、「主要候補」ではない自分たちのことを誰も見てくれないからだ。民主主義の根幹をなす、選挙というシステム。その中で必死に戦う、無名の候補たちの人間ドラマを追った一冊。おすすめ