【書評】『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』 ルーシー・クレハン

3年に1回実施される国際学力テスト、PISA。そこで高得点を挙げる国々は、どのような教育を行っているのだろうか。教師でもある筆者による、そんな疑問から生まれた教育論。
 
フィンランド、日本、シンガポール、中国、カナダ。文化も、風習も、国民性も、政治制度も違うこれらの国々で、筆者は多くの教師、親、政治家から意見を集める。各国ごとに教育制度は異なり、もちろんいいところもあれば悪いところもある。だがそれらの制度に共通する、高い成績と公平性をもたらす5原則とは。
 
細かい統計データはあまり用いられず、筆者とその取材先の印象ばかりで話が進んでいる感はある。だがそこから導き出される結論は、「子どもの可能性を信じる」というしごくまっとうなもの。その結論よりむしろ、それを導き出すまでの各国の教育制度について興味をそそられる一冊