【書評】『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』 高野秀行、清水克行

「ほんとうに面白い本を読んだとき、人は「誰かとこの本について語り合いたい」という強い欲求におそわれる」。そう語る筆者による、贅沢すぎる知の競演。
 
世界の辺境を旅するノンフィクション作家と、室町ブームの火付け役となった歴史学者。この二人が、同じ本を読み、その本について語り合う。神輿と山車の違い、スサノオマッカーサーの共通点、中世人が考えた「怠ける」ということ、土器の発展の歴史、弥生時代に稲作への移行が進んだ理由、古墳時代北朝鮮の共通点、などなど。一見何のつながりもない両者の専門だが、一流の知性同士がぶつかれば、そこには新たな知見が生まれる。読書の楽しさと、教養を得る喜びとを、存分に感じられる一冊。おすすめ