【書評】『文学問題(F+f)+』 山本貴光

「「文学とはなにか?」という問いは、何の役に立つか分からない文学なる営みを、なぜ人は五千年も続けてきたのか、という問いである」。そう述べる筆者による、数式を用いた文学論。
 
かつて夏目漱石は、文学は「F+f」であると説いた。あらゆる文学作品は、人間が「認識すること(F)」と「認識に伴って生じる情緒(f)」という二つの要素からできている。筆者はこの考えから、様々な文学的手法、種々の文学作品を読み解く。あたかも物理法則を見つけるように、緻密かつ繊細な論証で、文学の新たな楽しみ方を提案する一冊。おすすめ