【書評】 『消された信仰「最後のかくれキリシタン」-長崎・生月島の人々』 広野 真嗣

2018年7月に世界文化遺産に登録された、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。暫定リストには登録されながら、本登録の際に外された生月島の、キリスト教信仰を折ったノンフィクション。
 
生月島は「隠れキリシタン」の島である。それでありながら、明治以降にカトリックの司祭を招くこともなければ、1981年にローマ法王が長崎を訪問した際のミサにも誰一人として参加しなかった。また長崎県の行政や生月島の人々も、その信仰を大っぴらに語ることも少ない。日本で独自の進化を遂げた「カクレキリシタン」の信仰、その失われつつある信仰が意味するところとは。文化とは、信仰とは、祈りとは。様々なテーマについて、深く考えさせられる一冊。おすすめ