【書評】『東洋的近世』 宮崎市定

「中国の文化は何といっても田舎文化である。それにもかかわらず田舎としては不相応な進歩を遂げたのは、文化を支持する量の威力である」。そう語る近世中国史の泰斗による、東洋における近世の形。
 
人類の歴史は、古代、中世、近世と時代が移っていく。だがその移行は同時に起こるわけではなく、東洋、西アジア、欧州と別々のタイミングで移行する。交通や交易を通じて、お互いが影響を与え合いながら進歩していく。中世が戦乱の世であった理由、中国陶器が名声を博した理由、君主独裁の定義、明清が大帝国を築けた理由、清時代に儒教の考証額が発展した理由、中世以降に銭が必要とされた理由。などなど、一見バラバラに見える東洋内の出来事や、他の地域の出来事。それらを有機的に結びつける筆者の洞察には興奮を禁じ得ない。東洋史から見る「世界史」の見方。おすすめ