【書評】『ローマ盛衰原因論』 モンテスキュー

「社会が成立する時、制度を作るのは国家の元首たちであり、それから後に国家の元首を作るのは制度である」。啓蒙思想家である筆者が語る、ローマ帝国の盛衰。
 
筆者のモンテスキューが生きた時代は、アンシャン・レジームの末期であり、絢爛たるブルボン王朝の威光にも陰りが見えてきた時期である。そんな不安定な時代にこそ描かれた、古代史上最大の帝国の衰亡の原因とは。専制君主よりもやっかいなもの、征服者が心がけるべきこと、ローマが権力の濫用を防げた理由、権力を与えるということ、騎兵の割合に見る戦術の熟練度、軍隊が劣悪になるとみられる傾向、などなど。時代を超えても色あせない、栄枯盛衰の理とは。年号や人物名を覚えるのではなく、歴史から教訓を得たい人のための一冊。おすすめ