【書評】『ミッドウェー海戦 第二部』 森史朗

運命の日を迎えた第一航空艦隊。関係者への膨大なインタビューから、その全貌を探る大作。

南雲忠一が犯した最悪の命令違反、山口多門こそが司令官にふさわしい理由、スプールアンスの勝負師としての凄み、永野修身軍令部長がリーダーとして決定的に欠けていたもの、栗田健男がポンコツである理由、友永丈市の覚悟、兵装転換に時間がかかった原因、などなど。一つ一つの小さな伏線が、無敵艦隊壊滅という結末に向かって一気に収束していく。ノンフィクションではなく、上質なミステリーを読んでいるがごとく、ページを繰る手が止まらない。たとえこの戦いの結果を知っていても、いや知っているからこそ、歴史は様々な学びを与えてくれる。いちおし