【書評】『変貌する民主主義』 森政稔

「多数決に同意するという事は、多数の決定をあたかも自己の決定であるかのように受け入れるフィクションを承認するという事」。そう語る筆者による現代の民主主義論。

日本において、民主主義は当たり前の制度となり、誰もがもののついでに語れるような存在になりつつある。それに対し政治・社会思想史を専門とする筆者が、真正面から現代の民主主義について語った一冊。ポピュリズムが力を持った理由、小泉改革が日本に残した傷跡、マッカーシズムの矛盾、民主主義の赤字、外部からの評価に依存する危険、などなど。旧態依然とした思想ではなく、現代を生きる思想として民主主義ととの変貌を明かした一冊。おすすめ