【書評】『きけわだつみのこえ』

「俺は俺の生活を生きていきたい。何があっても」
 
先の戦争で亡くなった、戦没学生の手記。ある者は幼い子どもを残して、ある者は人生をかけた研究を中断して、ある者は戦争の意義自体に疑問を感じながら、戦場の露と消えて行った。戦局我に利あらず、勝利への希望も、生還の望みも見えない中での戦い。そんな絶望的な状況の中で、文字通り命がけで導き出したこの戦争の意義、自分が死ぬことの意味。彼らの遺した言葉は、涙なしでは読めない。1949年の刊行以来、世代を超えて読み継がれてきた一冊。いちおし