2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】『ディープ・シンキング 人工知能の思考を読む』 ガルリ・カスパロフ

「機械にあるのは指示だが、私たちには目標がある。壮大な夢をかなえるためにこそ、知能機械が必要なのだ」。史上最強と謳われたチェスプレイヤーであり、かつて「ディープ・ブルー」との対戦で世界的な注目を集めた筆者による、人工知能論。 かつて機械は、…

【書評】『修養』 新渡戸稲造

「些細なことでも実行を積んでいけば、その中に含まれる原則がおのずから会得される」。当代一流の教育者であり、教養人であり、国際人であった筆者による、人としての道徳の教科書。 平凡と非凡の差とは、死を恐るべき理由とは、人物の価値を測る方法とは、…

【書評】『<効果的な利他主義>宣言!──慈善活動への科学的アプローチ』 ウィリアム・マッカスキル

「必ずしも善意が成功に結び付くとは限らない。では、どうすればなるべく効果的に人々の役に立てるだろうか」。そんな疑問から生まれた、慈善活動への科学的アプローチ。 日本においても、寄付や慈善活動は当たり前になり、「どの団体に寄付をすべきか」とか…

【書評】『勉強の哲学 来たるべきバカのために』 千葉雅也

「勉強は変身で、変身はいつでも始められるし、いつ中断してもいい」。そう語る筆者による、「勉強」を哲学した一冊。 勉強とは自己破壊であり、何かの専門分野のノリに引っ越すこと。その過程で昔の自分がいなくなるという試練を通過する。だがその試練を乗…

【書評】『イノベーション・オブ・ライフ』 クレイトン・M・クリステンセン

「あなたが人生を評価するものさしは、何だろう?」。世界屈指の経営学者である筆者による、経営学を人生に活かす指南書。 どうすれば幸せで成功するキャリアを歩めるのか。どうすれば伴侶や家族、親しい友人たちとの関係を、ゆるぎのない幸せのよりどころに…

【書評】『ゲッベルスと私』 ブルンヒルデ・ポムゼル

これは、あの狂気の時代を生きた、ある女性の独白である。 本書の語り手、ブルンヒルデ・ポムゼルはドイツのごく普通の家庭に生まれ育った。我々と違うことといえば、彼女がナチス宣伝相のゲッペルスの秘書官であったこと。それまで何ものでもなかったヒトラ…

【書評】『歴史の「普通」ってなんですか?』 パオロ・マッツァリーノ

「歴史的に見れば、伝統とはちょっと長めの流行にすぎず、伝統は永遠でも不変でもない」。そう語る筆者による、日本の「伝統」を検証するシリーズの教育・保育編。 保育園建設反対運動も、待機児童も、電車内での化粧も、夏祭りに興味のない子どもも、今に始…

【書評】『超入門 資本論 』 木暮 太一

経済学史上、最も影響力のある著作と言っても過言ではない『資本論』。経済入門書作家である筆者が解説する、資本論のエッセンス。 資本論は、「価値」と「使用価値」、「剰余価値」、「剰余価値」が減っていくこと、の3つをエッセンスとしている。我々の給…

【書評】『ギリシア人の物語Ⅲ』 塩野七生

「大航海時代までの1500年以上にわたって、欧州人は東ではアレクサンドロスが、西ではカエサルが踏んだ地点に挟まれた世界を、世界と思いながら生きてきた」。700年にわたるギリシア人の物語、完結編。 国家を機能させるには、大手企業が振るわなくなる理由…

【書評】『社会心理学講義』 小坂井敏晶

「人間を理解するには、どのような角度からアプローチすればよいのだろうか」。筆者のそんな疑問から生まれた深遠な一冊。 社会心理学とは、「人間とは何か」という問いに答えることを命題とし、社会学、心理学、哲学の学際に存在する分野である。批判的な読…