2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』 武藤北斗

「会社の役割というのは、その人が幸せに生きていくためのサポートをするという一点に尽きる」。そう語る筆者による、新しい働き方の指南書。 筆者はパートを合わせても11名の、小さなエビ加工会社の経営者である。東日本大震災で石巻の工場を失い、多額の借…

【書評】『ギリシア人の物語II 民主政の成熟と崩壊』 塩野七生

ギリシア人の物語、第Ⅱ巻は民主政の黄金期であるペリクレス時代から、衆愚政に陥りギリシアが衰退するまで。 ペリクレス時代と、その後の衆愚政。あまりに対照的なその2つの時代の比較を通じ、民主政とは何か、衆愚政とは何かを問う一冊。ギリシアのポリス群…

【書評】『年収は「住むところ」で決まる』 エンリコ・モレッティ

「ハイテク産業では、成功が成功を呼び、多くの成功企業が連鎖的に生まれる」。そう語る筆者による、「場所」に注目したイノベーション論。 従来型の製造業は、比較的容易に海外へと生産拠点を移せる。だがイノベーション産業は、移転させることが非常に難し…

【書評】『経済は世界史から学べ!』 茂木誠

「理論の中ではどちらも論証可能でも、経験や歴史を通じてのみ、何が正しいか判断することができる」。予備校で世界史を教える筆者による、歴史を題材とした、経済学の入門書。 経済大国の西ドイツがユーロに加わった理由、江戸幕府が鎖国を決めたもう一つの…

【書評】『Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男』 佐々木健一

これは、知られざる偉業で世界の空の安全を確立した、一人の気象学者の伝記である。 かつて、空の旅は危険と隣り合わせであった。毎年のように航空機の墜落事故が起き、18か月に1度の割合で離着陸時に突然起こる「謎の墜落事故」で100名を超す人々が一瞬にし…

【書評】『第四次産業革命』 クラウス・シュワブ

ダボス会議の創設者が語る、第四次産業革命の衝撃。 筆者はダボス会議(世界経済フォーラム)で多くの識者と議論を行い、世界の政治と経済をリードしてきた。そんな筆者が考える「技術革命」の多面的な影響、それに対して取りうる対応とは。巷間語られている内…

【書評】『スポーツ国家アメリカ』 鈴木透

「ある意味で米国は、スポーツと社会との連携を再構築することで、近代の限界や矛盾を克服し、理想の国を作ろうとする壮大な実験をしてきた」。そう語る筆者による、スポーツで読み解く、アメリカの成り立ちと現在について。 得点を入りにくくする「オフサイ…

【書評】『人事の超プロが明かす評価基準』 西尾太

「人事制度とは、個々人の能力を伸ばす「人を成長させる仕組み」」。そう語る筆者による、人事制度・人事評価の要諦とは。 人事制度や人事評価は、人事以外の人からは非常に評判が悪い。なぜなら、評価基準が不明確かつ属人的で、何をしたら評価されるのかが…

【書評】『法人営業 利益の法則』 山口英彦

地味でつまらない商材を扱いながら、仕事のダイナミズムや自分の力量を感じられる法人営業。法人営業の講師を務める筆者による、B2B営業で「儲ける」勘所とは。 筆者が提案する「顧客深化の営業モデル」とは、エントリー客をつかむ、顧客との関係を深める、…

【書評】『遊牧民から見た世界史』 杉田正明

「「民族」や「国民国家」という枠組みから最も遠いと思われてきた遊牧民を中心テーマに据えて、その興亡・変転のあとを辿ってみたい」。そんな筆者の思いから生まれた、ユーラシアの歴史を遊牧民という視座から見た歴史書。 ユーラシアは世界最大の大陸であ…