2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】『明治維新とは何だったのか』 半藤一利、出口治明

近現代史の泰斗である半藤一利と、当代最高の教養人である出口治明。二人の知の巨人による、幕末から明治にかけてをテーマにした歴史対談。 アヘン戦争が幕府に与えた衝撃、若き俊英の阿部正弘が失敗した理由、わびさびが江戸時代に発展した理由、幕末とソ連…

【書評】『「新自由主義」の妖怪』 稲葉振一郎

「我々はマルクス主義に匹敵するような体系的イデオロギーとして「新自由主義」なるものがあると考えるべきではない」。そう語る筆者による、社会哲学者の目から見た新自由主義の正体。 「新自由主義」と呼ばれる一連の思想は、それ自体が大きな思想のくくり…

【書評】『世界のなかで自分の役割を見つけること――最高のアートを描くための仕事の流儀』 小松 美羽

「誰もが役割を持っていて、私はたまたま、それに早く気付くことができた。ただそれだけだ」。国際的に活躍する画家であり、独自の死生観を表現し続ける現代アーティストである筆者。その迸る情熱をぶつけた仕事論。 幼少期より培われた死生観、20歳で制作し…

【書評】『ヒトラー(下)』 イアン・カーショー

ドイツ近代史研究の世界的権威である筆者による、ヒトラー研究の金字塔、完結編。 ユダヤ人迫害の数字による検証、フランス侵攻の舞台裏、軍備計画の不備、ヒトラー支配下の政治体制、などなど。これまであまり語られることのなかった、ヒトラー体制の研究に…

【書評】『貧困と自己責任の近世日本史』 木下光生

「貧困救済に対する現代日本社会の向き合い方を解く鍵は、近世日本の村社会にあるのではないか」。そんな筆者の仮説から生まれた、江戸時代から現代までの貧困救済史。 21世紀日本は、生活困窮者の公的救済に冷たく、異常なまでに「自己責任」を追求する社会…

【書評】『思考術』 大澤真幸

「生きることに対する違和感みたいなものを概念として捉えていくこと、それこそがライフワーク的なテーマにつながる」。そう語る筆者による、思考を深めるためのヒント。 条件反射のように出てくる答えは、たいていの場合本質をとらえていない。さらに驚きに…

【書評】『ヒトラー(上)』 イアン・カーショー

「ヒトラー独裁は、文化的で進んだ近代社会がごく短期間のうちにイデオロギー戦争、残虐な征服、ジェノサイドという野蛮の極みに向かいうることを警告している」。そう語るドイツ近代史研究の世界的権威である筆者による、ヒトラー研究の金字塔。 上巻は生誕…

【書評】『新鉄客商売 本気になって何が悪い』 唐池 恒二

「一つの夢がかなうということは、その夢が夢でなくなるということ。次なる夢を描かなければ組織は停滞してしまう」。そう語る筆者による、仕事を本気で楽しむための要諦。 筆者は長く国鉄からJR九州で働き、現在は代表取締役会長の地位にある。そのキャリア…

【書評】『美の考古学』 松木武彦

「太古から人が作る物にはどんな美が宿されてきたのか、人は物にどんな美を盛り込んできたのか」。そんな筆者の疑問から始まった、「美」を切り口にした考古学。 ホモ・サピエンスが初めて製作した道具である石斧から、縄文土器と弥生土器の違い、縄文時代に…