2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】『鎌倉幕府と室町幕府』 山田徹、谷口雄太、木下竜馬 

鎌倉幕府と室町幕府、今様々な新発見が相次ぐこの時代の、最新研究をまとめた一冊。 鎌倉時代と室町時代は、地味で人気の薄い時代である。いや、「であった」と言ったほうが正確である。なぜならこれらの時代は、歴史研究者の間で最もホットな時代であるから…

【書評】『愛をばらまけ』 上村 真也

大阪のあいりん地区、そこで奮闘する型破りの牧師と、その信徒たちを追ったノンフィクション。 大阪の釜ヶ崎は別の名をあいりん地区。日雇い労働者の街であり、スラム街の代名詞であり、警察署が襲われる暴動事件が何度となく発生してきた街である。そこにほ…

【書評】『超圧縮地球生物全史』 ヘンリー・ジー

この地球に生命が生まれてからの、38億年の長い長い物語。 地球は46億年前に誕生し、その8億年後に生命が誕生した。その長い歴史の中で、数多くの生命が生まれ、繫栄し、絶滅し、そしてまた新たな生命が生まれてきた。そんな生命のこれまでと、そして未来の…

【書評】『計算する生命』 森田 真生

「計算によって、人は新たな概念の形成へと導かれてきた」。そう語る筆者による、生命と数学との関係。 筆者は独立研究者として、数学を中心に研究や執筆活動を行っている。複素平面の本質的な意味、リーマンが関数に与えた大きな役割、高校数学が18世紀以前…

【書評】『暴力と不平等の人類史: 戦争・革命・崩壊・疫病 』 ウォルター シャイデル

「大量動員戦争、革命、国家の破綻、伝染病の大流行の4つが、不平等を是正してきた」。そう語る筆者による、不平等の人類史。 農耕の発明とともに、人類は経済的不平等とともにあった。放っておけば不平等は拡大する。だが様々なタイミングで、そういった不…