2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】『OPTION B 逆境、レジリエンス、そして喜び』 シェリル・サンドバーグ、アダム・グラント

「朝が来れば、起きるしかなかった。ショックを、悲嘆を、生き残った事への罪悪感を乗り越えるしかなかった」。夫の急死という試練を経た筆者が語る、レジリエンス(回復する力)の鍛え方。 「部屋の中のゾウ」という誰もが見て見ぬふりをしている問題の対処法…

【書評】『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』 ブレイディみかこ

「社会が本当に変わるということは、地べたが変わるということだ」。英国における最底辺の託児所で働いた経験を基に語られる、寛容さを失っていく社会の記録。 筆者は保育士として、英国の底辺託児所やミドルクラス向けの保育園で働いた経験を持つ。折しも福…

【書評】『戦略参謀の仕事』 稲田将人

「参謀役は経営トップへの登竜門」。そう語る筆者による、企業の戦略参謀の目線から語る経営論。 日本企業では、たとえばGEのような次期経営者を育てる仕組みはあまり見られない。そんな中で、いくつかの優良企業では社長や事業責任者の機能の一部を代行する…

【書評】『自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質』 折木良一

「自衛隊が敗北するときは、わが国が滅ぶとき」。そう語る筆者による、真に負けないための戦略の要諦。 筆者は東日本大震災の時の、自衛隊トップである統合幕僚長であった。そんな「戦時」の指揮官だからこそ知り得た、戦略の本質とは。ケネディ大統領があえ…

【書評】『太陽を創った少年』 トム・クラインズ

9歳でロケットを自作し、14歳で核融合炉を作った早熟の天才、テイラー・ウィルソン。彼の物語を通じて、天才児の才能を開花させる方法を探る一冊。 教育専門家の推定によると、学業面でのgifted(才能を授かった) の子どもは6~10%におよぶという。ではなぜテ…

【書評】『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』 池谷裕二

脳科学者である筆者が、自分の子育てを通じて、脳の発達を考えた記録。 なぜ人は赤ちゃん言葉を使うのか、なぜ大人は辛いものが食べられるのか、なぜ鳥は三歩歩けばものを忘れるのか、なぜ子供は習いもしない文法を習得できるのか、なぜ子どもに様々な経験を…

【書評】『文学問題(F+f)+』 山本貴光

「「文学とはなにか?」という問いは、何の役に立つか分からない文学なる営みを、なぜ人は五千年も続けてきたのか、という問いである」。そう述べる筆者による、数式を用いた文学論。 かつて夏目漱石は、文学は「F+f」であると説いた。あらゆる文学作品は、…

【書評】『新・生産性立国論』 デービッド・アトキンソン

「生産性を向上させることによって、日本の労働者は豊かになり、ワーキングプアは消え、貧困に窮している子どもたちが救われ、日本社会全体が幸せになる」。そう語る筆者による、生産性の意味と、生産性向上のための処方箋。 人口減少、経済の低迷、上がらな…

【書評】『大唐帝国』 宮崎市定

古代と近世とを結ぶ「谷間の時代」である中世。その時代に東アジアの政治と文化の中心であった唐王朝の歴史を通じて、中世という時代を語る一冊。 古代の終焉とはどのような状態を指すのか、後漢で荘園が流行った理由、地方政権が滅亡を免れる方法、関羽と張…