2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】『中国史』下 宮崎市定

中国史の大家による、夏王朝から中華人民共和国までの中国全史。下巻は宋の統一から現代まで。 アルファベットと比べた漢字の利点、党派対立時に生き残る方法、モンゴル帝国と中華料理の意外な関係、景気循環と王朝交代のメカニズム、文化の進展が歴史機与え…

【書評】『善と悪の経済学』 トーマス・セドラチェク

「どんな経済学も、結局のところは善悪を扱っている」。そう語る筆者による、大きな物語としての経済学。 ギルガメシュ叙事詩、旧約聖書、キリスト教、デカルト、アダム・スミス、などなど。古典から経済思想のルーツをたどる一冊。ただし、筆者の幅広い教養…

【書評】『中国史』上 宮崎市定

中国史の大家による、夏王朝から中華人民共和国までの中国全史。上巻は古代、中世の唐から五代十国時代まで。 「過去を整理しておかねば、明日の生活に支障を来すことになる」。絶えず将来に備えながら、過去を振り返って整理する。我々の生活は、正反対の方…

【書評】『東洋的近世』 宮崎市定

「中国の文化は何といっても田舎文化である。それにもかかわらず田舎としては不相応な進歩を遂げたのは、文化を支持する量の威力である」。そう語る近世中国史の泰斗による、東洋における近世の形。 人類の歴史は、古代、中世、近世と時代が移っていく。だが…

【書評】『反共感論』 ポール・ブルーム

「共感は愚かな判断を招き、無関心や残虐な行為を動機づけることも多い」。そう語る筆者による、共感が人間に与える負の側面について。 センセーショナルな事件や、痛ましい事故のニュース。これらを見ると、我々は被害者に共感を覚える。だがそれよりもはる…

【書評】 『消された信仰「最後のかくれキリシタン」-長崎・生月島の人々』 広野 真嗣

2018年7月に世界文化遺産に登録された、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。暫定リストには登録されながら、本登録の際に外された生月島の、キリスト教信仰を折ったノンフィクション。 生月島は「隠れキリシタン」の島である。それでありながら、…

【書評】『応援される会社 熱いファンがつく仕組みづくり』 新井範子、 山川悟

「ブランド価値を高めようとする行動の主体は、今や顧客側にある」。そう語る筆者による、企業のファンになってもらうための方法論。 応援経済という言葉はごく最近生まれ、その影響力を拡大している。応援される会社と、されない会社、それを分けるものは何…