2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】『食の実験場アメリカ-ファーストフード帝国のゆくえ』 鈴木 透

「アメリカ独立により、ローカル、ナショナル、インターナショナルの三要素が絶妙に共存する形で、食文化の基層が形成された」。そう語る筆者による、食を通じたアメリカ文化論。 アメリカは移民大国であり、それゆえに常に変わり続ける国家である。食の分野…

【書評】『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』 ルイス・ダートネル

「人間の知識は広く拡散した集合的なものであり、社会を動かすプロセスを十分に知っている人間は誰一人いない(」。そう語る筆者による、再び文明社会を築くための指南書。 パンデミックか、大災害か、核戦争か、隕石の衝突か。理由は何でもいいが、大破局後…

【書評】『138億年宇宙の旅』 クリストフ・ガルファール

138億年前、宇宙はどうやってできたのか。宇宙はどのようになっているのか。宇宙はこれからどこへ向かうのか。考え始めるときりがないこれらの問いに答える、最先端宇宙論の解説書。 筆者は「車いすの天才」ホーキングの下で学び、サイエンスライターとして…

【書評】『野生化するイノベーション』 清水洋

「いったん生まれた技術は、野生動物と同様に、その移動を制限しようとしてもなかなかうまくいかない」。そう語る筆者による、イノベーションの経験的パターンの解説書。 イノベーションには一定の習性があり、自由に移動し、破壊的な側面を持つ。あたかも野…

【書評】『ローマ盛衰原因論』 モンテスキュー

「社会が成立する時、制度を作るのは国家の元首たちであり、それから後に国家の元首を作るのは制度である」。啓蒙思想家である筆者が語る、ローマ帝国の盛衰。 筆者のモンテスキューが生きた時代は、アンシャン・レジームの末期であり、絢爛たるブルボン王朝…

【書評】『安部修仁 逆境の経営学』 戸田顕司

地獄を2度見た男が語る、経営の本質。 かつて吉野家は、1980年の倒産、2004年の牛丼販売停止という2度の地獄を見た。本書の主人公である安部修仁は、1980年には営業部長として、2004年には社長として危機への対応を指揮した。その経験から導き出された、実践…