2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】『「ものづくり」の科学史』 橋本毅彦

「互換性」と「標準化」。意識するしないに関わらず、我々が日々多大なる恩恵を受けている、「ものづくり」の基礎技術の発展史。 かつて、ほとんどのものは一点一葉で製造されていた。そのため、ある一つの部品が壊れれば、その部品を一から作り直さねばなら…

【書評】『遅刻の誕生』 橋本毅彦

日本人の時間感覚はどこから来たのかを、様々な切り口から探った一冊。 明治初期に来日したお雇い外国人たちは、日本人はほとほと時間にルーズであり、これでは近代化など望むべくもないと嘆くのが常であった。ところが現在では、日本の電車は世界一時間に正…

【書評】『失われた宗教を生きる人々』 ジェラード・ラッセル

中東・西アジア地域は、一般的にはイスラーム世界と思われているが、現実には他宗教の世界である、英国外交官であった筆者による、そんな多宗教世界のレポート。 中東といえばイスラーム教。確かに人口比で見ればイスラーム教徒が圧倒的だが、ユダヤ教やキリ…

【書評】『インド日記』 小熊英二

日本近代史の教授である筆者による、2か月のインド滞在の所感をまとめた一冊。 筆者が滞在した2000年当時、インドは高度経済成長とグローバリゼーションの中で、急速な社会変化と価値観の動揺、右派ナショナリズムの台頭に揺れていた。伝統と近代が混ざり合…

【書評】『変貌する民主主義』 森政稔

「多数決に同意するという事は、多数の決定をあたかも自己の決定であるかのように受け入れるフィクションを承認するという事」。そう語る筆者による現代の民主主義論。 日本において、民主主義は当たり前の制度となり、誰もがもののついでに語れるような存在…