【書評】『戦争における「人殺し」の心理学』 デーヴ グロスマン

「人間が戦い、殺しあうのはなぜなのか」。そんな筆者の疑問から始まった、戦場の心理学。
 
筆者は米国陸軍に23年間奉職し、また大学院で心理学を専攻した、戦場と心理学についての専門家である。そんな筆者の知見から生まれた、戦場の心理学とは。第二次大戦で15%程度だった発砲率がベトナム戦争で90%以上になった理由、将校の死亡率と精神を病む確率への考察、戦場で最も危険な瞬間とその対策、殺人の心理的抵抗を決めるもの、ドイツ軍が機関銃を重視した理由、優秀な戦闘機乗りの条件、などなど。戦争という極限状態における、人間心理への洞察に富む一冊。おすすめ