【書評】『計算する生命』 森田 真生

「計算によって、人は新たな概念の形成へと導かれてきた」。そう語る筆者による、生命と数学との関係。
 
筆者は独立研究者として、数学を中心に研究や執筆活動を行っている。複素平面の本質的な意味、リーマンが関数に与えた大きな役割、高校数学が18世紀以前の発見までで止まっている理由、学問を前進させる間違い、思考と規則の関係、数学が人工知能に果たす役割、などなど。上品な文章と、論理展開の美しさに酔わされる一冊。数学がどのように活かされているか、数学からどのように学問が発展していくかという広がりが面白い。繰り返し読んで、筆者の世界観に浸りたくなる一冊。おすすめ