【書評】『暴力と不平等の人類史: 戦争・革命・崩壊・疫病 』 ウォルター シャイデル

「大量動員戦争、革命、国家の破綻、伝染病の大流行の4つが、不平等を是正してきた」。そう語る筆者による、不平等の人類史。
 
農耕の発明とともに、人類は経済的不平等とともにあった。放っておけば不平等は拡大する。だが様々なタイミングで、そういった不平等は是正されてきた。筆者は戦争、革命、崩壊、疫病を平等化の四騎士と呼び、それらがいかに人類に影響を及ぼしてきたかを述べる。2つの世界大戦による上位1%の所得シェアの変化、戦争で平等化がなされる仕組み、参戦していないスイスの状況、経済危機と平等化の関係、経済的平等性の落とし穴、などなど。「人類史」のタイトルに偽りなく、ローマ帝国からスパルタ、戦前の日本、太平天国フランス革命、現代ソマリアなど、数多くの事例がこの本を特別なものにしている。600ページ近い大著だが、ページを繰る手が止まらなくなる一冊。おすすめ