【書評】『結論は出さなくていい』 丸山俊一

NHKのディレクターとして様々な番組制作に関わった筆者による、「結論」を出さない思考法とは。
 
「ニッポンのジレンマ」「英語でしゃべらナイト」「Jブンガク」など、幅広く、かつ他にはない切り口での数多の番組を手がけてきた筆者。そんな筆者の発想法は、「わからない」状況でもがき、それを楽しむこと。その「ジレンマ」を潜り抜けないと、新しい世界は見えてこない。
エッセイのようであり、評論のようであり、自伝のようであり、それら既存の枠組みに当てはめれない、不思議な一冊である。「結論は出さなくていい」というタイトル通り、明確な結論も、的確な道筋も、正確な答えも書かれていない。だがその「わからなさ」こそが、この本の最大の魅力であり、筆者が示したかったことなのかもしれない。おすすめ