日本近代史の教授である筆者による、2か月のインド滞在の所感をまとめた一冊。
筆者が滞在した2000年当時、インドは高度経済成長とグローバリゼーションの中で、急速な社会変化と価値観の動揺、右派
ナショナリズムの台頭に揺れていた。伝統と近代が混ざり合い、国家としての
アイデンティティが確立されていく時代。これは筆者が専門とする、近代日本の姿と重なる。値切りの代償とは、
アイデンティティを構成するもの、帝国とその外郭の文化、国家統合のために必要なこと、右派の支持層に共通するもの、
ヒンドゥー教の排他性、
ナショナリズムが生まれる背景、などなど。インドを描いているようで、インドを通じて日本の近代とその文化について語った一冊。おすすめ