【書評】『不屈の棋士』 大川慎太郎

将棋ソフトの脅威にさらされる将棋界、その渦中にあるプロ棋士たちのインタビュー集。
 
1000年以上にわたって親しまれてきた将棋、そして将棋界の最強集団であるプロ棋士たち。近年急速に力を付けた将棋ソフトにより、その勢力図が変わろうとしている。これまでは「一番強いのはプロ棋士」というのが当たり前であったが、今やトップクラスの棋士たちが次々と将棋ソフトに敗れ去り、将棋ソフトこそが最強の称号を受け継ぎつつある。プロ棋士の中でも、将棋ソフトを積極的に利用する者、背を向ける者、脅威を感じる者、反応はさまざまである。
 
このインタビュー集は、「あなたの存在価値はどうなりますか?」という問いへの答えである。AIの登場により奪われる仕事、奪われない仕事が存在する。そんな中、人はどのようにAIと付き合っていくのか。どのように自分の存在価値を見出していくのか。それに対する智の巨人たちの回答であると同時に、読者である我々も問われている一冊でもある。おすすめ