【書評】『昭和天皇』 原武史

陸海軍大元帥として、戦争の責任者として、復興のシンボルとして、激動の時代を生きた昭和天皇を、宮中祭祀を中心に描いた意欲作。
 
昭和天皇の在位は62年の長きに及び、これに摂政時代も加えると67年にも及ぶ。これは歴代天皇の中では最長であり、世界的に見ても珍しい。時代が激変する中、天皇の役割も変化を余儀なくされた。戦前戦後と続けられた宮中祭祀、「御真影」の意味の変遷、父である大正天皇との違い、他の皇族との確執、などなど。各種資料から読み取れる、昭和天皇の真実とは。いまだ評価の定まらぬ天皇の実像に迫る一冊。おすすめ