「元々は平地で暮らし、何かの事情で山に移り住んだ人々の暮らしが、平地文明の本質を映し出す鏡になっている」。そう語る筆者による、山地民から見た国家論。
ゾミアとは、ベトナムからインド北東部にかけての山岳地帯のことで、250万平方キロメートルもの広大な土地と、1億人にも及ぶ多種の少数民族が住んでいる。山岳地帯ゆえに、いまだに国民国家に統合されていない人々も多数存在する。この地域を研究することで、国家形成についてのもう一つの視点が得られる。中央集権型で、人口密集型の平地国家。平等主義で流動的な社会構造を持つ山地民。この2つの対比をベースに、人類がいかに国家を生み出し、いかに国家を築いてきたかについての、重厚かつ壮大な物語。