【書評】『それでもあなたを「赦す」と言う』 ジェニファー・ベリー・ホーズ

ヘイトクライムにより引き起こされた事件と、残された遺族の悲しみについて。そしてそれでも、赦すということについて。
 
2015年6月17日、米国サウスカロライナ州のエマニュエル教会で発生した、銃乱射事件。州上院議員を含む9名が亡くなり、当時のオバマ大統領が弔問でアメージング・グレースを歌ったことでも知られている。そしてサイスカロライナ州で、150年にわたり「国旗」として使われていた南部連合旗は、事件後にその役目を星条旗に譲り渡した。歴史が動いた日であり、典型的なヘイトクライムによるテロ事件であり、信仰と赦しの物語である。その事件が起きた日と、その後を克明に追ったルポルタージュ。聖職者であり州上院議員であった犠牲者の一人、クレメンタ・C・ピンクニー。黒人初の米国大統領となったバラク・オバマサウスカロライナ州初の女性知事であり、自らもインド系と言うマイノリティ出身であったニッキー・ヘイリー。そして犯人のディラン・ルーフ。その他様々な人々の視点から、歴史が動いた事件を描いた大作。おすすめ