【書評】『修養』 新渡戸稲造

「些細なことでも実行を積んでいけば、その中に含まれる原則がおのずから会得される」。当代一流の教育者であり、教養人であり、国際人であった筆者による、人としての道徳の教科書。
 
平凡と非凡の差とは、死を恐るべき理由とは、人物の価値を測る方法とは、仕事を選ぶコツとは、継続するために必要なものとは、名誉の効用とは、吝嗇であるべき瞬間とは、逆境に耐える心得とは、早く昇進する人の共通点とは、集中力を養うための鍛錬とは、などなど。優しい言葉と、分かりやすい例えとで、筆者の言わんとすることが何の違和感もなく腑に落ちる。真の教養人とは、誠の偉人とは、筆者のような人物のことを指すのだと思う。何も難しいことは言っていないのに、自然と襟を正される一冊。「修養」のために必読の一冊。いちおし