【書評】『<効果的な利他主義>宣言!──慈善活動への科学的アプローチ』 ウィリアム・マッカスキル

「必ずしも善意が成功に結び付くとは限らない。では、どうすればなるべく効果的に人々の役に立てるだろうか」。そんな疑問から生まれた、慈善活動への科学的アプローチ。
 
日本においても、寄付や慈善活動は当たり前になり、「どの団体に寄付をすべきか」とか「その社会問題解決に力を入れるべきか」が問われる時代になってきている。寄付先を選ぶための指標として、質調整生存年(QALY)、つまり年数×生活の質の向上割合による指数を本書では提案している。これを用いれば、「10人をエイズから救うことと、100人を思い関節炎から救うこと」「40歳のエイズ患者の治療と、20歳の患者の失明を防ぐ手術」など、これまでは困難であった比較をトリアージすることができる。それ以外にも、効果的に世界を良くするための仕事の選び方、フェアトレードの真実、地産地消の落とし穴、ベジタリアンの効果、などなど、科学的アプローチから世界をより効率的によくしていく手法が満載。年収5.2万ドル以上なら、世界的にみると上位1%の富裕層に属するという。われわれには、世界を変える力があるのだ。その力の使い方を知るためにも、必読の一冊。いちおし