【書評】『余暇と祝祭』 ヨゼフ・ピーパー

「余暇とは、いったい何でしょうか」。哲学者である筆者が、その疑問に答えた意欲作。
 
労働の対極として認識される、余暇や祝祭。だが中世欧州においては、「労働のための労働」をモットーに休みなく働くことは、怠惰のしるしとさえ思われていたという。余暇は苦痛から解放されて祭りを祝う人の態度に象徴されるように、意欲的かつ自主的なものである。戦後すぐに書かた本とは思えないほど、余暇の効用とその意義を説いた一冊。100ページほどの薄い本であり、簡潔かつ読みやすい筆致で、現代哲学の一端を覗ける一冊。おすすめ