【書評】『美の考古学』 松木武彦

「太古から人が作る物にはどんな美が宿されてきたのか、人は物にどんな美を盛り込んできたのか」。そんな筆者の疑問から始まった、「美」を切り口にした考古学。
 
ホモ・サピエンスが初めて製作した道具である石斧から、縄文土器弥生土器の違い、縄文時代に土器の製作が盛んだった理由、古墳時代前方後円墳の日本史的意味、銅鐸と縄文土器の共通点、などなど。教科書で習ってきた古代の歴史が、「美」という切り口から見ることで、全く新しい側面を見せる。歴史の新しい楽しみ方を発見できるだけでなく、今に続く「美」の基準がいかに生まれたかを明らかにする一冊。おすすめ