【書評】『ラ・ロシュフコー箴言集』 ラ・ロシュフコー

「我々は生涯の様々な年齢に全くの新参者としてたどり着く。だから、多くの場合、いくら年をとってもその年齢においては経験不足なのであ」。17世紀フランスの貴族であった、ラ・ロシュフコー公爵フランソワ6世の箴言をまとめた一冊。
 
筆者が生きた時代のフランスは、ルイ14世絶対王政の時代。貴族の威信は急速に失われ、また彼ら自身の浪費により経済的にも苦境に陥っていた時期であった。そんな時代に描かれた、人間考察と処世術とは。人が他人のあらさがしをする理由、沈黙の効用、真の雄弁とは、素直になれる人間の特徴、節制の意味、欲望を抑える方法、などなど。ごく数行の短い文章で、人間の本質を鋭く見抜いた言葉の数々は瞠目に値する。座右に置いて、繰り返し読みたい一冊。いちおし