【書評】『セイラー教授の行動経済学入門』 リチャード・セイラー

心理学と経済学を融合させた、行動経済学。その泰斗による入門書。
 
伝統的な経済学は、誰もが「最も合理的な行動」を取ることを前提としている。だが誰もが身に覚えがあるように、人は体に悪いとわかっていながら煙草を止められなかったり、期待値が低いと知りながら宝くじを買ったり、より苦しくなることを知りながら苦痛を先延ばししようとする。そんな人間心理を盛り込んだ経済学。オークションで参加者が増えた時に取るべき戦略、囚人のジレンマを解消する方法、同じ仕事でも給料の高低がある理由、顧客に値上げを受け入れてもらうための技法、偶発的な所得への対処法、などなど。従来の経済学では説明できなかった、「人間の不合理」に対する知見が満載。おすすめ