【書評】『ヘンな科学 “イグノーベル賞" 研究40講』 五十嵐 杏南

「裏ノーベル賞」「ノーベル賞のパロディー」として知られる、イグノーベル賞綺羅星のごとき研究の中から、40個を紹介した一冊。
 
人類の英知を結集させ、科学は進歩してきた。その恩恵の上に、我々の便利で快適な生活は成り立っている。だが全ての科学者が、全ての研究が、人類の偉大な進歩のために研究されているのではない。ポテチをよりおいしく食べるためにすべきこと、尿路結石を治す意外な方法、昇進させる従業員をどのように選ぶべきか、牛乳をたくさん出すためにすべきこと、などなど。何かの役に立ちそうな研究だけでなく、ネコは液体かどうか、なぜバナナの皮は滑るのか、天橋立のまた覗きの効果とは、などの単に好奇心だけで進めた研究まで。「富士が高いのは裾野が広いからだ」との言葉通り、このような一見無駄に見えるような研究があるからこそ、科学の知見はより広くなり、深い発見も生まれるのだと思う。おすすめ