【書評】『教育格差』 松岡亮二

「日本の教育においては、制度を変更することが目的化し、その「改革」の帰結についてはほとんど検証されない」。そう語る筆者による、データに基づく教育格差の実態。
 
日本においては、出身家庭と地域によって子供の最終学歴は決まり、それは収入や職業など様々な格差の原因となる。つまり、日本は「生まれ」で人生の選択肢が制限される「緩やかな身分社会」なのだ。大学受験で高校受験の失敗を挽回できる人の特徴、教育熱の地方格差、家庭の蔵書数と子どもの学力の関係、親の学歴による子どもの学習時間の違い、AO入試が格差を広げる理由、などなど。膨大なデータに基づき、教育格差の実態を暴いた一冊。当事者でなければ見えず、当事者であればN数が少なすぎてもっと見えない教育の現場を描いた一冊。おすすめ