【書評】『八九六四』 安田峰俊

八九六四、すなわち1989年6月4日に起こった、天安門事件の真の姿を追ったルポルタージュ
 
現代中国の最大のタブーである、天安門事件。中国国内では「六四」と検索できないとも、LINE乗っ取り犯に「天安門事件」と送ると黙るとも言われ、様々な憶測や陰謀論までもが飛び交っている。この事件を巡り、筆者は有名無名、老若男女、居住地を問わず、60名以上への取材を行った。そこから朧げに見えてきた、天安門事件とは。天安門のデモに参加した学生たちの共通点、武力鎮圧が偶然でない証拠、天安門事件の翌年に台湾が民主化できた理由、香港デモと天安門事件の共通点、などなど。群盲象を撫でるの言葉通り、多くの証言から天安門事件の輪郭を浮かび上がらせる名著。おすすめ