【書評】『日本の参謀本部』 大江志乃夫

日本の戦争指導を統括した、陸軍参謀本部。その誕生から栄光、そして滅亡までを追った記録。
 
明治陸軍は、当初は内乱に備える軍隊であった。だが西南戦争終結によりその任務は終わり、外敵との戦争に備える軍隊となる。その時に行われたのが、ドイツ式軍隊への大転換であり、参謀本部の設置であった。桶狭間の戦いの戦略的考察、「参謀本部の父」メッケルが来日した理由、ドイツ式と異なる日本の参謀本部の特徴、日露戦争に勝てた真の理由、日本が第一次大戦の教訓を得られなかったわけ、大山巌の虚像と実像、関特演の秘めていた真の危険性、などなど。日本近代史の一側面であり、新進気鋭の組織が没落する組織盛衰論でもある一冊。おすすめ