【書評】 『最高機密エージェント』 デイヴィッド・E・ホフマン

冷戦下のモスクワで暗躍した、CIAのエージェントたちの物語。
 
アドルフ・トルカチェフ。ソ連の軍事技術研究所に勤務するエンジニアであり、職場で得た情報をCIAに渡していた、冷戦史上最大級のスパイである。彼が盗み出した情報から、アメリカはソ連のレーダー技術や、今後10年にもわたる兵器開発計画までもを、彼から得ていたという。映画のような派手な部分は微塵もない。ひたひたと迫る正体不明の恐怖が、この本を繰る手を止まらなくさせる。ノンフィクションでありながら、最高級のミステリーでもある一冊。おすすめ