【書評】『「家族の幸せ」の経済学』 山口 慎太郎

「「当たり前」をデータできちんと確認しておくことが、私たちの社会の正しい理解への第一歩」。そう語る筆者による、結婚、出産、子育ての行動経済学
 
帝王切開すると落ち着きのない子に育つ」、「母乳で頭が良くなる」、「3歳までは母親がつきっきりで子育てすべき」世などのにはびこる「定説」。これらはまことしやかに言われているが、果たして本当にそうなのだろうか。筆者は人々の意思決定と行動に関わる学問である、経済学の手法を用いて、これらの「定説」を丹念に検証していく。そこから見えてきた、結婚、出産、子育ての真実とは。未婚率向上の原因、離婚率の高い職場、出生体重とIQの関係、育休期間の最適値、父親が育休を取るために必要なこと、体罰が間違っている理由、離婚のメリットデメリット、などなど。データによる裏付けで我々の社会の一つの側面が見えてくる。豊富なデータだけでなく、そのデータを用いた分析手法まで学べる一冊。おすすめ