【書評】『昭和の怪物 七つの謎』 保阪正康

「歴史の史実の一つ一つには、当事者だけが理解できる何かが隠れている」。そう語る筆者による、昭和の怪物たちの評伝集。

東条英機石原莞爾犬養毅瀬島龍三など、戦前から戦後にかけての歴史上の人物たち。彼らの近親者を含む、延べ4000人以上へのインタビューを通じて見えてきた、怪物たちの真の姿とは。東条英機が非知性的であった証拠、石原莞爾を怪物足らしめた生き方、犬養毅が犯した最大の間違い、瀬島龍三が改竄した史実、などなど。歴史上の人物たちの息遣いまで聞こえてくるような、膨大な取材に裏打ちされた迫真の筆致。読む人を選ぶ本ではあるが、昭和史を学ぶ上で、重大な補助線となる一冊。おすすめ