【書評】『世界は贈与でできている』 近内悠太

「僕らは、他者から贈与されることでしか、本当に大切なものを手にすることはできない」。そう語る筆者による、贈与論。
 
世の中には、お金では買えないものがある。筆者はそれを「贈与」と呼ぶが、必要であり重要なその贈与について、我々はよく分かっていない。「自分へのご褒美」という言葉が空虚な理由、親がなぜ「孫の顔が見たい」と言うのか、贈与と偽善の違い、天職の3つの要素、ボランティアに熱心なZ世代が献血に行かないわけ、贈与が呪いに転じる瞬間、サンタクロースという装置について、電車に遅延に文句を言う人の心理、などなど。贈与という概念を通じて、世界を再定義する一冊。いちおし