【書評】『逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知』 楠木 建、杉浦 泰

バズワードに惑わされる、「同時代性の罠」から逃れるにはどうすればいいか。そんな筆者の疑問から生まれた、近過去の歴史の活かし方。
 
「今こそ激動期」と言われ続けながら、ことごとく外れる未来予想。「日本的経営は崩壊する」と言われ続けてはや50年、いまだに崩壊し続けるほど堅固な日本的経営。これらは先端的な事例を過大評価し、意思決定を狂わされる「同時代性の罠」である。ではこのような罠にかからないためには、どうすればいいか。同時代性の罠を構成する3つのトラップ、サブスクで失敗する企業の共通点、戦略に飛び道具が使えないわけ、カローラのヒットに至るまでの長い道のり、若い世代ほど新しいものに適応できる真の理由、「日本が悪い」という言説がいつの時代も流行るわけ、などなど。本質を見抜き、大局観を養うためのヒントが詰まった一冊。おすすめ